松下幸之助氏は
父が米相場で失敗したために
非常に苦しい家庭で育ちました。
家庭の事情から
尋常小学校を4年で中退、
わずか9歳で丁稚奉公にだされました。
また、病気がちで体が弱かったそうです。
つまり、松下幸之助氏は
学歴、家族、健康、お金など
すべてがない状態でした。
一般に会社経営を成功するには
学歴や健康、元手になるお金が
必要だと思われていますが、
実はそうではないのです。
松下幸之助氏はないない尽くしの状態で起業し
松下電器産業を世界的な企業へと
成長発展させることができたのです。
ないない尽くしの松下幸之助氏が
どうしてそこまで成功できたのでしょうか!?
そう、そこには陽転思考という
強力な思考法があったのです!
松下幸之助氏がまだ勤め人だったときに
荷物を船で運んでいるときに
ふとした拍子に船から落ちてしまいました。
泳ぎが得意ではなかった松下幸之助氏は
そのときに死を感じたそうですが
同乗していた同僚がすぐに引き揚げてくれたので
九死に一生を得ました。
そのとき、松下幸之助氏はこう考えたそうです。
同僚が気づいてくれたから助かった。
気づいてくれなかったら死んでいた。
季節が夏だったので助かった。
冬であれば凍死して死んでいた。
自分はなんて運がいいんだ、と。
それ以降、社員を採用するときは
かならず「君は運がいいか?」と聞いたそうです。
「運が悪いです」と答えた人は
お断りしていたとか。
これはどういうことかと言うと、
「人生は思うようにはいかない。
しかし、自分は運が強いと信じられる人だけが
自ら道を切り拓くことができる!」
という考え方があったのです。
そう、それこそが陽転思考なのです。
現在、日本では3万人以上もの人が
自殺をしています。
しかし、この数字は
自殺とはっきりわかる人が3万人という意味で、
行方不明者などを含めれば
その3倍以上はいると言われています。
また、自殺するまではいかなくても
自殺することと同等以上の苦しみを
抱えながら生活している人も少なくありません。
毎日、前向きで、嫌なこともなく、
自分の願っていることがすべて叶っている
という人はほとんどいないでしょう。
むしろ、嫌なことばかり経験する毎日を
過ごしている人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
しかし、その嫌なこともすべてひっくるめて
あるがままに受け入れて
前進していく思考、それが陽転思考なのです。
陽転思考を言葉で説明するのは簡単ですが
深く実感できるようになるには鍛錬が必要です。
本講座では松下幸之助氏の教えでもある
陽転思考とは何かをわかりやすく解説し
どう実践していくべきかヒントについてお話します。
小田 全宏(おだ ぜんこう) 先生
東京大学法学部卒業後、(財)松下政経塾入塾。
松下幸之助翁指導のもと、一貫して人間教育を研究。
多くの企業で「陽転思考」を中心とした講演と人材教育実践活動を行い好評を博す。
NPO法人「日本政策フロンティア」を設立し、理事長を務める傍ら、NPO法人「富士山を世界遺産にする国民会議」運営委員長として全国を東奔西走している。